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  • 執筆者の写真Koji Ishida

Double Doors



Double Doors」は藤沢に本店があり、七里ヶ浜店は2店舗目だった。

(残念ながら藤沢店は今年22年という長い歴史に幕を閉じてしまった)


地元湘南の人に愛されるアメリカンな人気レストランバーで、 お店には黒いラブラドールレトリバーの看板犬がいた。

(先代はゴールデンレトリバーだったとか)



メニューは今まで僕が働いてきた飲食店の中でも抜群のクオリティだった。


なにより、オーナーのセンスが飛び抜けていた。


料理はもちろん、仕事の前にサーフィンをして、

結婚してて子供もいて、そのライフスタイル全てがカッコよかった。


今だに敵わないと思っているし、リスペクトしている。



オーナーだけじゃなく、周りの人(スタッフや常連さん)もみんな最高だった。


やはり類は友を呼ぶんだろう。



そんな湘南に住む人みんなに共通して言えることがある。


それは「カッコつけないカッコ良さ」だ。


海や山、自然が近くにあるせいなのかゆるくてナチュラルな人が多かった。


化粧をしない女性、ロン毛の男性、ビーサン率なんかはかなり高い気がする。


そんな居心地のいい人たちと一緒にいると、 今までカッコばっか付けてた自分が最高にカッコ悪いことに気づき、


僕はある日から身に付けていたピアスやアクセサリーなど全てを外した。


自分を着飾るのが気持ち悪くなったんだ。


僕はみるみるナチュラルになっていった。


それはまるで波に削られたシーグラスみたいに尖ってた部分を丸くされてるようだった。



ここで学んだことは多い。


でも実は料理は一度も教わったことはない。


バーテンだった僕はドリンクを作りながらいつも横目でキッチンを見ていた。


そう、見て覚えたんだ。


気づけば僕はお店の為にホームページ、メニュー、ショップカード、Tシャツなど色々デザインしていた。



最初は自分のスキルを使うのには抵抗があった。


少なくとも他ではお金を貰ってやっていたことだから。


でもそれも含めて自分の力だと認めてもらおうと思えるようになった。


ただのバイトなのに社員以上の働きをしてやろうと。

さらに僕は「ここならcafe del marのような場所に出来る」と確信して、


湘南を代表するイベント「Freedom Sunset」とコラボしたパーティーを主催したりもした。

夕陽と極上の音楽とお酒。


最高な時間だった。


そして僕は藤沢店と七里ヶ浜店の両方を行き来するようになった。


あのとき社員になりたいと言えばいつでもなれたような気がする。


どんな仕事でも、自分を必要とされてるのは嬉しいしやりがいがある。


休みの日でもお客さんとして行くくらい好きなお店だったから、 その好きな空間の中で何かを作り上げて行くのは楽しかった。

こうしてアウェイだった湘南がだんだんとホームになっていく…

だけど札幌に帰らなければならなかった。


それが自分で決めたルールだから。



こうやっていつも僕は、自分に鞭を打って環境を変えていくんだ。


自らに試練を与えるように。




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