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  • 執筆者の写真Koji Ishida

Le baron de Paris

「ROCKER AND HOOKER」の運営だけではまだまだ二人の生活は厳しく、 僕らは生きていく為に空いた時間にバイトをしたりもしていた。 中野はあまり職種は選ばずに日払いの仕事など様々だったが、 僕はどうも自分の為になる仕事しかしたくない主義で、人脈作りも兼ねて、 昔から興味のあったクラブでの仕事を選んだ。 男なら一度は憧れるバーテンダー。 正直、僕も最初はカッコいいからという理由だけだった。 でも当時は男はカッコつけてなんぼだと思っていたんだ。

ここが僕のバーテンダーとしての始まりであり、 結果としてここで働いていなかったら、今こうして飲食店を経営していなかったかもしれない。 お酒の知識はもちろん、それなりの接客やサーブの仕方も一から教わることが出来たのは大きく、今も僕のベースになっている。 全ては繋がっているんだ。 昼は中目黒のSHOP「ROCKER AND HOOKER」、夜は青山のクラブ「Le baron de Paris(通称ルバロン)」 僕のファッションと飲食の二刀流の原点は間違いなくここからだろう。 クラブは朝まで営業だから、寝る時間がほとんどないことも多かった。 今はすっかり健全な昼型人間だけど、昔は完全に夜型人間だった。


ルバロンはパリに本店がある会員制のクラブ・ラウンジでかなり敷居は高く、 芸能人も頻繁に訪れる大人な社交場だった。 ファッション業界のパーティーも多く、お洒落な著名人やデザイナーも数多く出入りしていた。 これぞ"TOKYO LUXURY LOUNGE" ゴージャスで華やかで非日常的な空間がそこにはあった。 「いつかここで自分のブランドのパーティーをやってやる」 そう思いながら大好きな音楽とお酒に囲まれ、感化しながら働いていた。

ファッションと音楽っていうのは実に密接だ。 「ROCKER AND HOOKER」のオーナーも本業は音楽業界で、

「Le baron de Paris」のファウンダーはフランスのグラフィティアーティスト・アンドレや プロダクトデザイナーのマーク・ニューソンがプロデュースしたものだった。 クリエイティブな人ほど本気で遊んでいるということだ。 そしてなにより、僕も含めそんなルバロンのオープニングスタッフとして入った仲間は、


皆個性が強く刺激的で、 スタッフ間は歳も関係なく本当に仲が良かった。 プライベートで遊ぶことも多く、未だに繋がっている人も多い。 どうしても同じ地方繋がりで集まる要素が強い東京で、出身もバラバラな仲間が出来たのは一番の収穫だった。


そしていよいよ東京コレクションへの出展が決まり、僕はルバロンを去った...


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